君たちはどう生きるか「キリコ」は何者?なぜマヒトと同じところに傷がある?

『君たちはどう生きるか』の登場人物の1人、キリコ。
なぜかマヒトと同じところに傷があり、いったい何者なのか気になりますよね。

その傷は何を意味するんだろう?
今回の記事では
- 「君たちはどう生きるか」に登場するキリコは何者?
- なぜマヒトと同じところに傷がある?
について徹底解説しますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください!
Contents
君たちはどう生きるか「キリコ」は何者?
お屋敷のお手伝いのお婆さんであるキリコ。
少々荒い口調でサバサバした性格の持ち主です。
煙草をふかし、マヒトに弓矢の作り方を教えたりと、現実世界でもどこか個性的で異彩を放っていました。
キリコとマヒトは2人で下の世界に行くことになりますが、ここから物語は急展開し、印象も変わっていきましたね。

どうして主人公と下の世界へ行ったのだろう?
他のばあや達とは違い背筋はしゃんと伸びていて、「本当は夏子(母の妹)が嫌いなんでしょう」と核心を突く言動も。
その鋭い洞察力にも何か意味がありそうです。
若き頃のキリコは船乗りであった!
キリコは下の世界へ行くと、漁を生業とするたくましい若い船乗りの姿となりました。
彼女が言うには、異世界とは「地獄に近い世界」で、すでに死んでいて何も殺すことのできない者たちのために、漁師として働いていたのだそう。
ばあやの姿からは想像できないほどイキイキと働く姿にはびっくりしましたね。

若かった頃のキリコはかっこいいね!
キリコは漁によって得た食料を売り、新たな生命・ワラワラにも与えて守ることで、命の秩序を守る門番のような役割を果たしていました。
死者とこれから生まれる命の世話役として、この仕事を使命感をもって遂行していたのですね。
キリコはマヒトにとってどんな存在?
お手伝いさんという立場で主人公を献身的に世話していたのに対し、下の世界でのキリコは自分のことは自分でやるようマヒトに行動させたところが印象的でした。
現実世界ではお手伝いさんに囲まれ、「お坊ちゃま」のような生活をしていたマヒト。
社会の仕組みを学び、自分の力で切り開き生きていくことを教えてくれたキリコは、まるで頼れる姉のような存在だったと言えますね。
彼は、命というものが、他の誰かの働きや殺生によって成り立っていることを学び、お屋敷にいたころとは正反対の生活を送ったことで、人として大きく成長しました。

強く生きることを学べたんだね!
また、孤独な環境から胸の奥に抱えていた「こんな姉がいたらよかったのに…」という思いを投影したのがキリコだったのでは、と考察している人もいましたよ。
誰にも甘えることもできずふさぎ込んでいた彼にとって、キリコの存在は大きな支えとなったに違いありません。
キリコとヒミは時間を共にしていた!
キリコはヒミを「ヒミ様」と呼び、同じ時間を過ごしていましたね。
異世界での2人の関係性についてはっきりとしたことは描かれていませんが、この呼び方からキリコは彼女のお手伝いとして時間を共にしていたのではないでしょうか。
一緒に行動していたヒミとキリコ、ヒミの子供であるマヒトが異世界で一緒にいられたことに、時空を超えた「家族の絆」が垣間見えます。

若かりし頃のキリコとヒミに会えたことで、マヒトは真実と向き合うことができたね!
マヒトの母・ヒサコは小さい時に神隠しにあった事があると、屋敷のばあや達が話しているシーンがありました。
きっとキリコも彼女と同じ頃に塔の中に迷い込み、「ヒミ」と出会ったのだと推測されます。
現実世界に戻ってきた時には、2人とも下の世界での記憶は消えていましたが、マヒトによって再び顔を合わせることになるというところに運命を感じますよね!
塔から戻ってきた後も、マヒトはキリコやヒミから教わったことを意識しながら生活しているようでした。
2人を忘れずにいることが伺えて、胸が熱くなるシーンです。
なぜマヒトと同じところに傷がある?
若き頃のキリコには、マヒトと同じところに傷があります。
この傷がいったいどんな意味を持つのか、疑問に思った方も多いのでは?
キリコは「ヌマガシラ」によって出来た傷だと説明していましたが、それに関する詳しいエピソードや描写はありませんでしたね。
このことから、実は漁の最中にできた傷ではなく、マヒト同様何か深い事情が隠されているのではと推測されています。

頭の傷、マヒトはごまかしたけどキリコははっきり答えていたよね。逆に引っかかるな~…。
素直に真実を打ち明けられないマヒトと即答するキリコ。
2人は正反対の性格ですが、「同じところに傷がある」という唯一の共通点が意味していることは何なのでしょうか。
マヒトの頭の傷ができた経緯をたどると、単なる偶然だとは思えませんね。
キリコにも心の傷や悪意があった!
マヒトの頭の傷は自ら石で殴ったことによりできたもので、悪意や嘘、弱い心の象徴です。
わざと怪我をすることにより、家庭での孤立心、いじめられ学校へ行きたくない気持ち、父へのSOSなど、心の内にある様々な思いをアピールする狙いがあったのだと感じました。
強そうに見えるキリコも、同じ場所に同じような傷を作っていることから、悪意や弱い心は彼特有のものではなく、人間なら誰しも持っているものだという事を示す意味があったと考えられます。

漁師のかっこいい姿からは想像できないけど、一見気丈にふるまっている人ほど、人知れず心の傷と戦ってきたという事なのかな。
ばあやの姿の時に傷が見当たらなかったのは、もしかしたら自分に潜む心の弱さや悪意を認め、乗り越えた事で傷が癒えたのかもしれません。
劇中でキリコの詳しい生い立ちは語られませんでしたが、見る人がそれぞれに「こんな過去があったのかな」と自由に想像することができるのも、この作品ならではですね。
キリコはマヒトに現実を受け入れさせる役割を持っていた?
キリコに頭の傷について尋ねられたマヒトは、自分で故意にやったことは言わず、とっさに嘘をつきます。
本当のことを言うと、嫌でも自分の中にある悪意と向き合わなければならないことを、彼も薄々感じていたのかも知れませんね。

素直に答えられなかったのは、そういうことだったんだね。
物語の最後には、マヒトが自分の弱い部分を認め、現実としっかり向き合う決意を固めた様子が描かれていました。
彼がつらい現実から逃げず、成長できたのは、キリコが人生の先輩として「人には皆悪意があって、それと向き合いながら強く生きていくしかないのだ」という事を背中で見せていたからでしょう。
映画の序盤では「ずる賢いおばあさん」でしたが、これらのメッセージを意識するとキリコのイメージがかなり変わりますね。
まとめ
物語のキーパーソン「キリコ」が何者だったのか、お分かりいただけましたでしょうか。
なぜマヒトと同じ場所に傷があるのかを理解すると、彼女の過去のあやまちや苦悩にも思いを馳せることができますね。
- 『君たちはどう生きるか』キリコは何者?
- マヒトに自力で生きていくことを身をもって教えてくれた、頼れる姉のような存在。
- なぜマヒトと同じところに傷がある?
- 傷=悪意は誰にでもあるということを表していた!
- キリコにはマヒトが自分の悪意と向き合い成長させる役割があった!
脇役ながらも印象を強く残していたキリコは、この作品を表現するうえでなくてはならない存在でした。
そんな彼女に注目して、『君たちはどう生きるか』をもう一度見てみてはいかがでしょうか。

キリコの自立した姿、難しい世界を生き抜く強さは私たちも見本にしたいね!