【君たちはどう生きるか】ナツコの子供の父親は?別な世界になぜ行ったか原因も考察

『君たちは君たちはどう生きるか』に登場する、眞人の新しい母・ナツコ。
おなかに赤ちゃんを授かっていますが、その子供の父親については、詳しくは明かされていません。
- 『君たちはどう生きるか』ナツコの子供の父親は誰?
- 別な世界になぜ行ったのか原因も考察!
- 「大嫌い」と眞人に言葉を向けた真意とは?
ナツコが別な世界へなぜ行ったのか、その選択をした原因についても、考察を進めていきます。

ナツコは塔の中がどうなっているか知っていたのかな?
Contents
【君たちはどう生きるか】ナツコの子供の父親は?
子供の父親については、作中で明確な説明がされていませんでしたね。
実の母が亡くなった後間もなく、父の再婚相手として現れたのが彼女でした。
駅で出会うや否や、眞人の手を自分のおなかに当てて、妊娠していることを告げます。

この無神経とも取れる行動に、不快感を覚える人も少なくなかったのでは?
再婚する時点で既に妊娠しているという事実から、「父親は誰?」と疑問に思ってしまいますよね。
令和の時代には理解しがたい当時の習わしを解説しながら、彼女が誰の子供を身ごもっていたのかについて、深掘りしていきましょう!
子供の父親は眞人の父?
眞人がおなかに触れた際に胎動を感じたことから、ナツコが再婚の数ヶ月前にはすでに妊娠していたことがわかります。
「眞人さんの弟か妹よ」と彼女が口にしたことから、その子は眞人と同じ父親の血を引いていると推察できるでしょう。

信じたくないけど、それ以外考えられないもんね…。
物語の冒頭で、眞人たちはヒサコの死から1年後に東京を離れたことが語られていました。
彼女が火事に巻き込まれたのは入院先の病院であったことから、元々病気を患っていた可能性もあります。
父・勝一はヒサコがもう長くないことを知り、彼女が亡くなる前からナツコと関係を持っていたのかも知れませんね。

それって不倫なのでは…!?
再婚相手がよりによって妻の妹、しかも既に妊娠していることについては、「生理的に受け入れられない」という観客の反応も多かったようです。
舞台となった時代について徹底解説!
この作品の舞台は、昭和19年。
この頃の日本では、「家制度」という文化が根強く残っており、家名を絶やさないことや家の名誉を守ることが最優先とされていました。
そのため、結婚相手は当人たちの意思よりも、家の存続を担う家長に決定権が与えられていたのです。
ヒサコが亡くなり、勝一がその妹に婿入りしたことは、彼自身が決めたというよりも「家の事情による決定」だった可能性が高いのではないでしょうか。

今では考えられないね。
当時は戦争の真っ只中。
誰がいつ亡くなるか分からないという状況も、こういった意識を強くさせていた一因と言えそうです。
配偶者の死後、その兄弟姉妹と再婚する「親族間再婚」も、よく見られたことでした。
家同士の契りも絶対的なものに近しいため、「ヒサコが亡くなったなら、勝一さんは好きにしてください」とはならなかったのでしょう。

とにかく家系を絶やさないことが大切だと考えられていた時代だったんだね。
こうした慣習から考えても、勝一がナツコの子供の父親であることは間違いなさそうですね。
『君たちはどう生きるか』ナツコが別な世界になぜ行ったか原因も考察!
ナツコの家の敷地内には、不思議な雰囲気を放つ塔が建っていました。
この塔は現実と別な世界をつなぐ役割をもっており、夢や記憶、心の奥底の感情を象徴しています。

怖いけど、ちょっと入ってみたいかも…!
眞人には立ち入ってはいけないとあれほど言っていたのに、なぜナツコはその中へと歩みを進めたのでしょう。
彼女が「現実から離れる」という選択をすることになった原因は何だったのか、読み解いていきます。
異世界に行ったのは勝一と結婚したくなかったから?
ナツコが異世界に行く原因になった様々な苦しみや葛藤は、全て勝一との結婚によって引き起こされているものです。
もっと言うならば、勝一と結婚せざるを得ない環境にさせた「家制度」そのものが、彼女を苦しめていました。

女性の意見は特に無視されがちな時代だったから、つらいよね。
大切な姉が亡くなり、その配偶者との結婚が決められてしまったナツコ。
間もなく子供を授かりますが、つわりで寝込んてしまうなど体調も良くありません。
加えて、継子はばあやたちから「ヒサコに似ている」と言われるほど姉の面影を残しています。

たった1年でこんなに複雑なことがたくさん起こったら、心理的にはかなり負担だっただろうね!
勝一との結婚に、彼女自身もどこか後ろめたさを感じていたのでしょうか。
一方、眞人も環境の急激な変化によって不安定になっており、自傷行為をするなどして自分を守ることで精一杯でした。
彼にとってナツコは、単に「お父さんが好きな人」というだけで、新しい母親であるという現実を受け入れられません。

この状況をいきなり受け入れるなんて、私でも無理だよ。
ナツコにとって、眞人は大切な姉が残してくれた忘れ形見。
だからこそ眞人を大切に育てていこうと決めていたのに、距離を置かれるような態度を取られたことは、彼女にとって心が深く傷つけられる出来事だったと言えます。
まして、自分のおなかには実の子がいる状態。
もしかしたら彼女は、自分の中に眞人のことを「疎ましい」と感じてしまう心がある、と気づいてしまったのかも知れませんね。

「眞人を大切にしたいけれど、できない」すごく罪悪感を感じてしまいそう…
ナツコがつらい現実から別な世界へ姿を消した理由には、彼女の心の深い部分での葛藤が関係しているように見えます。
二人が出会って間もないこともあり、観ている私たちからすれば、「眞人が心を開かないのも仕方ない」と感じてしまいますよね。
言い換えるなら、それだけナツコが追い詰められ、家を守る責任が重くのしかかっていたということなのでしょう。
「大嫌い」という言葉は眞人を守るためのものだった!
母・ヒサコが遺した「君たちはどう生きるか」という本を通じて、眞人の心に変化が芽生え始めます。
彼が自身の心と言動を見つめ直すきっかけになったのですね。
読み終えた後、ナツコが森の方へ出かけて帰ってきていないことを知り、彼女を見つけ出すために、家を出ます。

本を読まなかったら、ずっと探しに行かなかったかもしれない…
ナツコを探す中、眞人がたどり着いたのは、別な世界へつながる塔。
そこで彼は、ヒミやキリコと共に異世界で冒険を繰り広げ、その末にナツコのいる産屋へ足を踏み入れます。
ところが、やっと見つけた彼女に、以前のような優しい雰囲気はありませんでした。
部屋に入ってきたのが眞人だと分かったとたん、ものすごい剣幕で怒ったのです。

ナツコは一体どうしちゃったんだろう?
ナツコは、眞人が自分を母親として認めていなかったこと、自分と同じく環境の変化に苦しんでいることに気づいていたのかも知れません。
それでも、彼には現実を生きてほしかったのでしょう。

眞人が物語の冒頭で塔の中へ誘い込まれそうになった時も、ナツコは必死に防いでいたよね。
これ以上お互いに傷つかず、彼の心を守りたい。
あえて強い言葉を使って、現実世界へ帰ってもらおうと考えたのですね。
しかし、ナツコの意図に反して眞人は帰ることを選びませんでした。
彼が「ナツコ母さん!」と叫ぶと、ナツコははっとした表情を見せます。

「母さん」と呼んでもらえてナツコの心が救われたのかな。
ナツコが放った「大嫌い」という言葉は、彼女が眞人をとても大切に思っていたからこそ出たのだと感じました。
一方の眞人も、一緒に現実へ戻ることで彼女を守りたかったのでしょう。
ひょっとしてヒサコは自分の未来を予測した上で、ナツコと眞人のことを案じて本を遺したのでは?とも思える、心震えるシーンでしたね。
まとめ
今回は、ナツコの子供の父親と、彼女が別な世界へなぜ行ったのか、原因について考察しました。
- 『君たちはどう生きるか』ナツコの子供の父親は誰?
- 眞人の父親である可能性が高い
- ナツコは別な世界になぜ行ったのか原因も考察!
- 姉の大切な人との結婚への後ろめたさが原因
- 眞人に対する心の葛藤から
- 「大嫌い」と眞人に言葉を向けた真意とは?
- 眞人の心を守るため
- 眞人に現実世界で生きてもらうため
『君たちはどう生きるか』は、明言されている内容が少ない作品としても知られていますよね。
真実が語られないからこそ、想像と考察が深まる作品です。

考えるほど作品への興味も理解も深まるね!